高知県・野根川

高知県・野根川
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原始的な美しさを今に残す、ダムのない清流。

四国東部の貧打丸山腹を源流とする野根川は、徳島県海陽町、そして高知県東洋町を経て太平洋に流れる29.5kmの清流だ。その蒼く透明な水質から“日本最後の清流”とも言われ、今では希少になったダムのない川でもある。河口から源流まで、どの流域においても水は透き通っており、泳ぐ鮎や川底などが橋の上や河畔からも見ることができる。

河口。穏やかな流れで、大きく蛇行して海に流れ出る。

河口。穏やかな流れで、大きく蛇行して海に流れ出る。

野根川上流域は古くから良質な木材の産地として知られており、現在でも中流から上流域は温暖帯二次林と植林されたスギ、ヒノキが覆い、ツブラジイなどが残る貴重な原生林も残っている。その豊かな森の恵みにより、野根川の水は清らかに保たれている。その清流は豊かな生態系を育み、現在でも鮎やアマゴを目当てに訪れる釣り人も多く、サツキマスや絶滅危惧種のオオウナギなどの姿も確認されている。

中流域。野根川には小さな堰堤が2つだけある。

下流から中流域にかけて、野根川には頭首工が4ヶ所ある。

しかし、このように豊かな自然を残す野根川であっても、その姿は近年変わってきている。東洋町観光振興協会副会長の熊谷猛男さんはこう話す。「山が荒れてしまった影響で川に土砂が入り、昔は橋の上から飛び込めた深瀬も浅くなってしまいました。ここ10年くらいは川遊びもままならない。夏には中流域が干上がっていることからも、山の保水力がなくなってきているのでしょう」

上流では、大きな岩がゴロゴロとしている。

巨大な岩がゴロゴロしている上流域。

上流部の針葉樹を中心とした山林が荒廃して涵養機能が損なわれ、下流域までさまざまな影響を及ぼしているようだ。ウォーターズ・リバイタルPj.では、かつてのより豊かな野根川の流れを取り戻せるように、できる限りの協力を続けていく。

源流域は、こうした小さな滝がいくつもあり、そうした水が集まって野根川の流れが誕生している。

源流域はこうした小さな滝がいくつもあり、そうした水が集まって野根川の流れが誕生している。

野根川の清冽な水と豊かな森が生む食文化。

野根川の上流部は、柚子栽培の長い歴史を持つ。明治時代には、野根川の瀬に石垣を築いて水を防ぎ、柚子の樹を植えたという。

そんな野根川流域の柚子を使った郷土料理がこけら寿司だ。柚子酢、鯖を使った酢飯に、色とりどりの食材をのせた箱寿司で、その華やかなビジュアルと柚子酢の香りに惹き付けられる。もともとは地元の祝いごとで食されていたが、現在では土曜日に開催される「野根の朝市」でも販売されている。

ニンジンや錦糸卵、椎茸を具材にしたこけら寿司。

ニンジンや錦糸卵、椎茸を具材にしたこけら寿司。

野根川流域の名産といえば、寒茶も外せない。野根川水系の水で育つ寒茶は、ビタミンCが豊富でカフェインやタンニンが含まれていないことから“身体に優しいお茶”として親しまれ、あと味がすっきりとした優しい味もあって全国的に人気だ。寒茶という名前は、1年で最も冷え込む1月に茶摘みすることに由来し、寒茶の山地である宍喰地区は「日本一早い茶摘みの里」と呼ばれている。

また、野根川流域の山地では、現在でも野生の猪が生息しており、地元の猟師たちは、猟の解禁日になるとこぞって山に入る。猟師が獲った猪の肉は、東洋町の「海の駅」などで販売されることもあるので、タイミングが合えば新鮮な猪肉を手に入れることができる。

4頭の猟犬と猪狩りに向かう熊谷猛男さん。

4頭の猟犬と猪狩りに向かう熊谷猛男さん。

文:堀越大輔

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