高知県・野根川 vol.02
11月13日、野根川「大斗えん堤」に定置網、そして源流のアマゴ調査
魚類分類学者でサケ・マス類の研究で著名な井田斎先生による、野根川生物調査のレポートです。詳しくは、近いうちに東洋町HP上に調査報告書をアップしますので、ぜひご覧ください。
今回のテーマは、野根川中流域の魚類や甲殻類などの遡上と源流域のアマゴについてです。
定置網を野根川中流の大斗えん堤の上流側に設置しました。河川組合の許可をいただいて、前日に仕掛けたのですが、水温は15℃、5月下旬に実施した調査と比べると比較にならないほど少数ですが、アユとモクズガニが遡上していました。
このアユもそろそろ下流に下るのでしょうか。産卵前のウォーミングアップといったところですかねぇ!?
さて、野根川源流域に向かいます。
まずは、朝日の差し込む「四十谷(しじゅうだに)」方面です。とても美しい渓相です!
この上流には「人殺しの滝」という物騒な名前の滝がありますが、左岸に道があり比較的歩きやすく、標高520m地点まで上ってみました。水温は12.5℃、井田先生に潜水調査していただいたところ、まだこの水温ですと産卵スイッチは入っていないらしく、アマゴは確認できるがペアリングはありませんでした。
そして、桃の木谷の手前で引き返して、豊門方面に向かうことにしました。
「豊門」は野根川の河口から最も遠い源流点だと考えています。貧田丸を源流点とすると釜ヶ谷か東谷ということになりますが、詳細地図で見ると豊門の方が遠く本流ということになります。
大斗で15℃だった水温は、四十谷方面で12.5℃豊門はもっと低く11.5℃です。
この上流のアマゴの産卵スイッチオンに期待しながら上っていくと・・・
何故かシルト(沈泥)が多いのです。
そして、その原因はすぐにわかりました。小規模ですが傾斜地の樹木倒壊による土砂の流出によるものだと考えられます。下画像の中央、井田先生が調査している淵の上流の地肌がむき出しになっています。
おそらく上流の茶色く見える土砂が原因ですが、このポイントは、石と石の間にシルトが堆積し、アマゴの産卵床に影響が出かねないレベルになっていました。
上流の森林の荒廃が、アマゴの産卵床に大きく影響しているわけで、森林保全の大切さを痛感しました。
さて時間の都合もあり、この先は次回にして、下流に向かうことにしました。
下の画像は、豊門からの本流と四十谷からの支流が合流する「石」という地点です。素晴らしい紅葉でした!!
野根川は、東側のごく近くに源流点のある海部川より小規模な河川ですが、同じ山系から発しており、川の長さや流れの形が似ていて、兄弟のような川だと感じますが、上流部のこの辺りの渓相や蛇行は、ちょっと異なる独特な趣があります。
勿論、両方とも素晴らしい川ですし、次世代により良い状態で引き継いでいきたい川ですが、現状のアユの生息環境をみても、海部川が一枚上手で、お手本となるお兄さんといった印象を持っています。
はやく、アユやアマゴが溢れるような川に戻ってほしいと、心から願います。
カメラ:芳賀元昌/文:水谷要