御処野 誠「2017年~春~ 野根川を見て」

野根川河口の桜並木は薄桃色の花が満開になっている。


少しずつ春の匂いがしてきた野根川には、今年も稚鮎の姿が見られるようになってきた。

昨年から準備を進めてきた「野根川再生プロジェクト」も今年本格的に始動!行政、町民を巻き込んでの取り組みが始まった。

「野根川再生プロジェクト」とは、かつて「天然鮎の名川」とも言われていた野根川を再生されるプロジェクト。しかし、昨年を通して行った、河川魚類調査の結果は想像を超える結果であった。最盛期で100万匹はいた鮎が、今は10分の1の10万匹程にまで激減していると言う。原因はいくつか判明しており、親鮎の減少や魚道の崩壊などが考えられた。また、地域でも川に対する意識が低くなっており、行政も川再生の施策が後回しになっていた。

昨年は調査をして原因を割り出し、直せる所から川再生に取り組んだ。

もっとも鮎の遡上に壁となっていたのが、河口から最初にある鴨田頭首工。右岸、左岸、中央に魚道があるのが、ほとんど機能していない崩壊した魚道であった。

調査結果では、鴨田頭首工下に堰堤を越えられない稚鮎が、過密による餌不足で痩せた個体が多数確認された。

また、次にある長峰頭首工も同じように、右岸にある魚道が機能しておらず、遡上の大きな妨げになっていた。この2つの魚道を機能させるべく、専門家立会のもと、魚道改修工事を行った。


そしてこの春、改修した魚道に水が流れ、遡上してきた稚鮎の姿が見られるようになった。昨年よりは遡上数も多く、遡上しやすい魚道にはなったが、まだまだ改良点もあるようだ。


「野根川再生プロジェクト」はまだ始まったばかりで、これからも行政、地域を巻き込んでの活動が続く。親鮎保護の為に、禁漁期間や禁漁区を設けることや、野根川の観光ガイド育成、流域産品を使った加工品開発などを計画している。

川が元気になれば、鮎も元気になる!地域も活性化する!と期待している。

■遡上する鮎/水中の鮎の様子

 

 

追記:今年は遡上数多いし、解禁日が楽しみでございます。

文:御処野 誠

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