ズームアップ!安曇川(あどがわ)
琵琶湖と安曇川(あどがわ)そしてビワマスについて
令和4年5月2日 琵琶湖の大津に来ました。ここから左回りで湖南から湖東〜湖北〜湖西の高島市まで周遊し、安曇川を遡上することにしました。久しぶりの川リポートです♪
琵琶湖は「淀川水系」に属する一級河川で、その琵琶湖に湖西から注ぐ「安曇川」ももちろん一級河川。琵琶湖に流下する河川水量は、全河川(約450)の中で最も多い約28%を占めています。豊かな森林に育まれた魅力的な川です。
琵琶湖は約440万年前に形成された古代湖だそうです。40-100万年ほど前に現在の位置に移動してきたそうです。
ロシアのバイカル湖、アフリカのタンガニーカ湖に続いて、世界で三番目に古い淡水湖です。
北部の豊かな新緑
外周は235㌔、湖面水位約85㍍、湖底が最も深い水域は竹生島と安曇川河口の間にあり、最大水深は105mくらいだそうです。
琵琶湖の一番幅の狭い琵琶湖大橋を境に北側を北湖、南側を南湖と呼ぶそうですが、若い地形であり水深70メートルを超す北湖に対し、
南湖は湖沼の発達ステージの終末状態に近く水深5メートル以下である。そして南湖から流れ出る『瀬田川』が唯一の流出河川で、
そんな瀬田川の唐橋をスタート♪
まずは、湖東から湖北を目指します。湖北水鳥公園です。
地形のなだらかな傾斜の湖岸で、美しい湿原に無数の鳥たちが生息しています。
そして湖西、この辺りの湖底は傾斜が急で琵琶湖最深部はすぐ近くです。
そして、「安曇川北流」とその河口にご対面
そして南流とその河口
安曇川は河口から約2㌔上流地点で分岐して北流・南流となり琵琶湖に注ぎます。ここからほど近いところに琵琶湖最深部があり、多くのビワマスが生息しています。
南流の橋の上からみた河口付近のハス、稚アユの群れもいます、見えにくいですが・・・
琵琶湖では例年1 – 2月に湖水が垂直に混合し、水温(約4度)と溶存酸素量が表水層から深水層まで一様になる全層循環(全循環)という物理現象が起こります。湖底に棲息する生物に酸素を供給する働きをもち、「琵琶湖の深呼吸」とも呼ばれています。
そしてビワマスは冷水を好み、その多くが琵琶湖の深部に生息しています。
ビワマスは、琵琶湖が生んだ天然の宝石ですね。
その生育至適水温は15℃以下とされ、中層から深層を回遊します。孵化後、4年で40cmから50cmに成長します。
そして9月から11月、産卵期になると川を遡上、産卵後には寿命を終えます。
近年の琵琶湖ではブラックバスなどの外来種によって生態系や漁業に大きな影響が出ており深刻な問題となっていますが、ビワマスの生息数は40万 – 50万尾で、外来魚がほとんど存在しなかった数十年前とほぼ同様の生息水準が保たれています。滋賀県水産試験場の調査によると、これはビワマスが川を下って琵琶湖の深場へ移動する際、他の魚類のように浅場に長時間留まらず、素早く河川を下って深場へ移動するので、琵琶湖上層部を生息域とする外来魚の影響を受けにくいためと考えられているそうです。まさに水温の壁が自然の要塞になっているわけですね。なんだかホッとするハナシですね
これはアユやハスを捕獲する簗(やな)です。琵琶湖のアユは日本の代名詞ですね。その他にも、湖岸には、縄文遺跡やら近江遷都の足跡やら、多くの史跡があります。千年以上前の先人たちも同じ景色を眺めていたのかと、時空を超えた不思議な心持ちになります。
そして、上流部に設置されている安曇川の取水堰と魚道堰
リポートの締めくくり - 琵琶湖の北湖は、生命地域主義と千年持続社会を今に伝える大切なところだと感じました。例えば湖西部では、琵琶湖と安曇川の交わりで海と川の繋がりの大切さを、コンパクトに表現しています。川は、人が手入れしないと良くなれません。森里川海のつながりの確保、川が一本につながると、豊かな命が甦ります。森は水のこと、里は人のこと、琵琶湖と安曇川に見習うべきことは多いと感じました。守っていかなければ、大切な日本の水資源。
写真・文/水谷要