山口直哉「森と水の四方山話」vol.08

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ホンマス

ホンマスはビワマスとサクラマスの交配種で、通常3年で成熟し全長40㎝~50㎝、まれに60㎝以上に育ち、秋に流入河川に戻り産卵をする。

外見はビワマスに近く、サクラマスと比較するとどこか優しい顔をしているのが特徴だ。

白銀に輝く魚体は頗る美しく、釣り人を魅了する。

中禅寺湖を訪れる釣り人で人気投票をすれば、恐らくNO1にあげられるだろう。

また脂の乗った濃いサーモンピンクの肉質もビワマスに近く、刺身や塩焼、ムニエルなどが最高に美味い。

(※東日本大震災の影響で現在は持ち帰り禁止・食べることは出来ない。)

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ここ数年良くない

2014年以降、過去に例がない程の低調が続いていたが今季は久々に良かった。

ただ釣れるサイズは20~30㎝台の2歳魚が中心で、10~20尾に1尾成魚が混じる程度で完全復活と言えるほどではない。それでも成魚の殆どが50㎝前後の良型に育ち、多くの釣り人を熱狂させた。昨シーズンから続くエサ=ワカサギの豊量が影響し好結果を生んだことは間違いない。

冬期は陸生昆虫・水生昆虫ともに活動は休止状態で鱒類のエサにはならない。

唯一のエサは小魚になり、その中でもワカサギは水深などの生息場所、群れる性格などから食べやすく、鱒類にとって非常に重要なエサ生物といえる。

90年代中頃まで中禅寺湖には多くのワカサギが生息し、ホンマスのアベレージサイズは45㎝ほどで35㎝以下の魚など殆ど釣れなかった。

理由は分からないが今年のワカサギ生息数はその当時の水準にあり、ホンマス復活の兆しを見た。ワカサギの産卵床の整備や放流などで、毎年安定的にこの生息数を維持出来ればホンマスだけでなく中禅寺湖の鱒類は完全復活するだろう。

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シーズン初期の情報

今季の中禅寺湖は暖冬に加え、過去例がないほど積雪量が少ない(=雪代が少ない)ことが影響し、水中は2,3週間ほど季節が進んだ異常な状態で始まった。

平年だと4月1日で2℃、同20日で4℃ほどの岸辺の水温が、4月6日の時点で6.5℃もあった。

例年なら5月の連休頃から見られ、下旬に接岸が本格的になるワカサギも、4月上旬から見られるほどだった。

4月下旬頃から釣れ始めるホンマスも同様で、4月1日の解禁当初から40㎝を超える成魚が釣れていた。

中旬には仲間内で50オーバーが連発し、いやが上にもテンションが上がって来る。

私自身の釣りはここ10数年ゴールデンウイーク明けからスタートしていたが、今季は少し早める事にした。

 

5月5日中禅寺湖に訪れると地元の知人や釣り仲間から「どうしたん?こんなに早くから来て(笑)まだGW中だよ(笑)」などと言われつつおよそ1年振りの再会を楽しんだ。

あとはデカホン(でかいホンマス)との再会だ。

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午前10時頃、隣に入った友人が50㎝ジャストのホンマスを釣る。

彼はホンマスが不調になってから中禅寺湖通いをスタートしたせいでホンマスを釣った事が無く、なんとこの50㎝が初ホンマスでおおいに興奮していた。

ワカサギを飽食したであろう魚体は頗る良く、体高だけでなく厚みも凄い!

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その後チビホン(2年魚のホンマス)は釣れるが本命が来ない。

風は強風になり体力的にかなり厳しいが、数少ないホンマスの回遊を逃したくないので休むわけにはいかない。

休まずに竿を振り続けると幸運が味方してくれた。午後1時半頃54cmのホンマスが微笑んだ!

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